最終更新日 2013-12-30

長谷川はせがわ 孝明 たかあき(Takaaki HASEGAWA)

埼玉大学大学院 教授 (理工学研究科 研究部 数理電子情報部門 電気電子システム領域)
eメールアドレス: takaaki【アットマーク@】hslab.ees.saitama-u.ac.jp (迷惑メール対策のためメールアドレスの一部の文字を置換しております。“【アットマーク@】”の部分を半角の“@”に変えてご利用ください。)

プロフィール
大学学部(81年卒)、大学院修士(83年修了)、博士(86年修了、工学博士)とも慶應義塾大学に学ぶ。 修了後直ちに埼玉大学工学部に勤務。助手、助教授を経て、現在大学院理工学研究科教授。 専門はITベースのITS。電子情報通信学会フェロー。IEEE、国際交通安全学会、情報処理学会、応用科学学会各会員。

パピルスからビットへ。 今はおそらく千年に一度のイノベーションの時期。 2005年春、e-文書法が施行された。社会システムの処理を 千年を超えて支えた紙から電子への処理基盤大移動。 SuicaやPasmoの交通系カードに自然についてくる電子マネー機能。

なぜ、リアルのIT (Information Technology) にこだわるのか? それは 人も物もリアルの存在だから。

現在の興味はシステム創成(Systems Innovation)ITS (Intelligent Transport Systems)。 82年から始めたスペクトル拡散通信(およびCDMA)、 人間からの情報抽出、人間、生物に即した情報処理信号処理を 含む人間と機械また人間同士の本質的なコミュニケーション をするための情報通信システムなど情報通信工学をベースに持つ。 情報通信(ビットの処理と移動)をベースに ITS(人や物の移動)を見たとき、 情報と位置の科学技術が新たに見えてくる。ITSではさらにこれが 人間・社会に密接に絡む。工学は人間のための学問であるのだから、 きちんと人間・社会の役に立つように、要素技術と人間・社会を共に 考慮したシステム作りをして行きたい。社会的受容性の高いシステム創成 は特に興味の的。 位置・情報・人間のフュージョンの科学技術が楽しくてしかたない。

一つの手法で0.999を達成しようとするとむしろ無理・無駄が生じることが ある。一つ一つは0.9でも三つをうまく協調し、0.999を達成する方が かえって近道なこともある。いや、それでしか達成できないこともある。 要素技術一つ一つの掘り下げとそれらの柔軟な融合、フュージョンが大事。

各車の位置情報を信号機に逐次通信し、アルゴリズムに従って、信号機 ごとに独立に現示を決定したとする。夜間などすいているときははほ とんど誰も信号で止まらずに目的地に到着。これが交通量の多い昼 だったら?信号機一つ一つは最適だとしても信号機の群になったときに どのような挙動を示すのだろう?これはローカル最適解とグローバル 最適解の関係の問題と見ることができる。

"ITSはITで高度化される人と物の移動システム"とプレインに考えて、 人と物の移動の本質を見ながらシステムを創成してゆきたい。 歩行、自転車、バス、電車、自動車、飛行機、船多くの移動手段がある。 物の移動も人の移動も多くの場合インターモーダルだ。バス停まで歩き、 バスで駅に、駅から電車で、そして空港からは飛行機で。。。駅や空港 まで自動車やタクシーを使う人も少なくない。移動の目的もライフ スタイルも様々だ。このような中、ITSを考えてゆくのは楽しい。

多くの特殊から、共通な部分、一般性の高い部分を抽出し、 それを提供できるプラットフォームを提供し、その上で新たな特殊 を創成する。プラットフォームは皆で共有し、アプリケーションは その上で競争的に開発すればよい。

2003年3月7日の電子情報通信学会と情報処理学会の共催のITS研究会の ITSとシステム創成 に関する一考察[139KB PDF]では、エンドユーザトライアングル から出発し、コストとマイグレーションを考慮したヘテロジーニアス システムを基本にし、プラットフォームオリエンテッドで社会的受容性の 高いシステムの創成の考察を行った。

2003年5月27日の電子情報通信学会ITS研究会の ITSプラットフォーム“EUPITS”〜実現へのアプローチ〜[536KB PDF]では、 3月7日の論文の具体的アプローチとして EUPITS (Evolutional Ubiquitous Platform for ITS)、そしてそのポジショニングサブ プラットフォームの具体案ととして M-CubITS (M-Cubed for ITS; M-CubITS; エムキュービッツ) の提案をそれぞれ行っている。さらにその上で WYSIWYASナビの 概念を提唱している。WYSIWYASとはワープロ等のWYSIWYGに対応する 概念で、"What You See Is What You Are Suggested"(見たまま お進みください。)を意味し、例えば目の前を撮した写真上などに、 推奨される方向を直感的に提示してくれるHMIの基本設計概念である。

2003年7月11日にはこれらをまとめて若干のモディファイをした 講演 ITSプラットフォームの提言[644KB PDF] を第8回高度測位社会基盤研究フォーラムで行った。

“インターネット”は“情報通信”のプラットフォームとなり、 "GPS"は“ポジショニング”のプラットフォームとなった。 いずれもUSの国防からスタートし、世界中の人々の生活に不可欠のもの となっている。

これらに続く人類の第3のプラットフォーム、“移動(モビリティ)”の プラットフォームが“ITSプラットフォーム”であると考えている。 初めから一般的な“人と物の移動”を目的として創成される プラットフォームがあってもいい。

ここでいうプラットフォームとは有形・無形の共通基盤を指し、 必ずしも大がかりな物理的インフラを意味するものではない。 インフラそのものも、その意味するところは随分と変わってきている。 農業・漁業等の第一次産業、鉱工業・建設業等の第二次産業、 通信・運輸・サービス業等の第三次産業のように、 道路・水道・ガス・電気・鉄道のような第一次インフラ、 通信・ポジショニングのような第二次インフラ、 それらを使って成り立つ人と物のモビリティの第三次インフラ を考えるとき、このことをよりイメージしやすくなる。

ITSの本質は知覚範囲の拡大"Awareness Enhancement"による 行動決定の変化にあると考えている。自分の直接見える 範囲・知り得る範囲が拡大することにより、事故を回避し(安全)、 混雑する経路を避け(効率・環境)、興味のある場所に寄り道する (利便・娯楽)。

2004年7月7日のAHS研究組合シンポジウムのパネル討論での原稿 の最後に、このごろよく感じ、いろいろな講演や講義でお話しする “ユビキタス時代のシステム創成 経済活性化トライアングル” を載せた。20世紀のITはバーチャル、21世紀のITはそれに加えた リアル。そこに現実に存在する人や物へのコンピューティング環境の サービス・相互作用こそ重要になる。 アウェアネスエンハンスメント (時空間を超えるバーチャルの世界IT)、 人と物の移動(実在の世界、 リアルの世界のIT)、 そして決済(経済活動の基本) の3要素が容易に行われる 仕組みを持っていることが社会に 受け入れられるシステム創成の重要なポイントとなると考え、 この観点からお話しさせていただいている。

2005年3月には「ITS分野の体系化について」、2006年3月には、 「ポジショニングとナビゲーションについて 〜ナビゲーションに 自位置情報は必要か?〜」を電子情報通信学会ITS研究会にて発表。

人には人の、組織には組織の、システムにはシステムのあるべき様 が大事であり、ITSのあるべき様を“人と物の移動”という本質に 立ち返って考えている。

先日、「なぜ位置情報が重要か?」と問われ、日頃私が 感じていることをそのままお返事した。 「それは、人間はリアルの世界に住んでいるから。物もやはりリアル の世界の存在だから。20世紀のバーチャルな世界のITから、 21世紀はそれに加えて実在する人や物が対象となるリアルの 世界のITが重要になる。」 ITSはまさにその対象のひとつである。

ITSには本当にいろいろな側面がある。これがまた楽しい。

学部生時代日本の白地図を塗りつぶし、風景写真(たとえば 海、 湖、 (海:新島、湖:サロマ湖、山:木曾駒より甲斐駒)など)を撮り ながら全国歩く。7月生まれで夏が好き。 でも、 を楽しむのも悪くない。 初夏 の風に誘われてぶらりと歩くのもも気持ちがいい。 気持ちいいといえば、ショパンの生家も気持ちいい。幼少の頃 この窓 から何を観ていたのだろう。 初秋の竹林も落ち着く。 (こう書いてみると結局いつでもかまわないということのようである。) 95-04-01〜96-03-31,カナダブリティッシュコロンビア州の州都ビクトリア (バンクーバーから飛行機で十数分)の ビクトリア大学に留学。 さいたま市在住。 海辺の町鎌倉に生まれ、鎌倉に育つ。海が好き。 育ったところは正確に言えば北鎌倉。 ある時期集中的に市内の寺をまわる。今も時間があればたまに出かける。 花を愛でながら、季節を重ねてゆく寺を楽しむのは悪くない。

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